スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

モンペはパンじゃないけどポテトの入った惣菜パンが美味しい

登場キャラ:アンチモン(モノ)、フラック、ディゼ、リス

「系統樹の行き詰まり、或いは進化のし損ね」



「ドゥー、モノおなかすいた」
ばさばさ、たっぷり余ったフードの袖は埃を舞い上げながら踊る。
アンチモンは先ほど空腹によって昼寝から起こされたばかり。
室内には自分と、しましまのとんがり帽子しか居なかった。
ディゼとリスを探したが、昼寝の前に買い物へ送り出したことを思い出す。

数秒経っても、空腹の訴えに対する返答はない。


「出かけてきてもいい?」
「駄目だ」
聞こえていないわけでは無いらしい。自分の言葉を無視されるのはいつものことだ。
フラックは帽子の飾り石を一つ一つ丁寧に磨いていた。フラックはあの帽子をとても大事にしている。口が寂しかったのであの石を舐めたら、厳しい折檻をくらった事を思い出す。
アンチモンはフラックのことが嫌いだ。いつも自分にそっけないし冷たいし、酷いことを言う。
しかし自分で空腹を解決できる能は、まだ無かった。


「何か食べたいよ」
再三の要求。
「食べなくても死なないだろう」
取り付く島は沈んでいるようだ。

「ドゥはけちだね」
「その呼び方はやめろ、癪に障る」

「もう少し優しくできませんか、ジューさん」
「……保護者は貴方だ、私じゃない」
「わっおかえり、ディゼ!」

買い物へ出ていたディゼとリスの帰宅。
飛び込むアンチモンをディゼは優しく迎え入れる。その後ろではリスが大荷物を抱えてよろけていた。

「一緒に生活しているのにその仕打ちはあんまりじゃないですか?」
「衣食住は提供している、そいつのミスも私がリカバーしている、文句をつけられる理由がわからない」
「あはは、しょうがないよフラック ディゼはモンペだもん」
心底理解できないという顔のフラックに、リスが茶々を入れる。フラックはそのくだらない概念に軽く舌を打ち、帽子の手入れに戻った。


「モンペって何?」
「リス!モノに余計なこと教えないでください」
「モノには言ってない!そういうところがモンペなんだって」
「パン?おなかすいた~!」

もうがまんできないと言わんばかりに、アンチモンは袖を大きく動かして地団太を踏み始めた。
フードについた王冠が床に擦り傷をつけて転がり落ち、机の脚にぶつかって止まる。
ディゼは蒼白な顔でリスから買い物袋を奪い取ると、黒く平たいペレット食品を取り出した。ダークマターの成分をセミドライにしたもので、口に含むと一気に膨れ上がる。かさばらずお腹がいっぱいになるので、小さな子供のおやつにうってつけだった。

荷物を押し付けられていたリスはその仕打ちに抗議の声を上げるが、ディゼの思考にはもうモノしかないようだった。
丁寧に剥ぎ取られたアルミが花のように開く。
アンチモンは勢い良く、おやつを差し出すディゼの手ごと被りついた。
ディゼからは呻き声の一つも出ない。ただただ嬉しそうな顔をしていた。








「あ~やだねモンペって」
「足元、石鹸が落ちているぞ」
呆れながらも、散らばった荷物をまとめ始めるリス。
フラックは柔らかい布で石を磨いている。
角度によってターコイズとピンクに、あるいは紫に色を変える石は、布から覗くたびにより深みを増していく。

「大切なんだね、その帽子」
「はあ?」
不機嫌な声。

「めちゃくちゃ真剣だし、大切に扱ってるから」
「だったらなんだ」
「いや、何でもないよ、ドゥさん」
大きい舌打ち。

「嫌なんだ、ワドルドゥみたいで可愛いじゃん」
「……」
今度こそフラックは何の反応も示さない。


「(フラックも随分子供らしいよなあ)」
机に荷物を全て載せ、椅子の上で脱力する。
アンチモンがリスによじ登り始めた。
いつの間に、と少し驚くが、どうやらディゼが水を汲みにいっているらしい。
遊べと言う事なのだろう、しかし買い物帰りにそんな体力を求められては困る。
このまま押しのけてしまってもいいが、そうすればディゼがきゃんきゃんと騒ぎ出すだろう。
面倒くさい光景がありありと浮かぶ。


あーもう、ガキばっか!


その叫びは、アンチモンのせいでよろけた椅子が盛大に倒れた音と衝撃で掻き消えた。

スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。