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空が濃紺に染まり始めるのを合図に、アガタは隊に命令を告げる。
「現時刻を持って行軍は中断、14区F地点への到達を持って本日の行動を終える」
兵士達はようやく、と喜びの声をあげ、すっかり乱れていた足並みを揃え直した。



白い砂漠、紫の霧、ガラスの林を抜けて、錆び付いた宿舎がそこにあった。
アガタは中庭で軍隊の整列・点呼を行い、数が揃っている事を確認すると、翌日の行軍予定と、最後に諸注意を述べた。
「毎回の確認になるが、運送品には手を出すな。以上、解散。」

そう告げた途端、兵士の殆どがゆるみ切った顔で今日の夕食だとか、明日の天気だとかを話し出す。
いくら拠点内部とはいえ、ここは仮にも外敵因子が多く観測される地域である。
切り替えの早さに感心するべきか、弛んでいると呆れるべきなのかアガタが悩みかけたところで、ふいに声をかける者がいた。

アガタはそちらを見もせずに、
「なんだタドリ、緊急の伝令か?」
「いえ、そうではないのですが…」
灯された星擬灯に照らされながら、羽を生やした若い兵士、タドリが姿を見せる。
つい最近近衛兵に抜擢された、頼り無い"ホープ"である。

業務以外の話などするな、と言いたげなアガタにびくつきながらも、タドリは手に持った皿を見せて続けた。
「良かったらお夕飯一緒にどうですか?すごいですよ、今日は枯肉のスープなんですって!」
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